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2012年10月11日木曜日

イメージ練習と波に乗ることの大切さ

歌手の仕事をやめてそろそろちょうど10年だ。
久しぶりに歌いたい気持ちが出てきたので、来年は10年ぶりにライブでもしようかと思っている。
ところで、歌手時代の私の歌の練習法を思い出したので書いてみたい。

20代前半の若い頃は、一人でスタジオにこもり、とにかく声を出しまくっていた。
ある時、あまりにも練習に熱を入れすぎて、コンサート前に本当に声が出なくなったことがある。
今思えば、なんと馬鹿なことをしたのだろうと思うのだが、当時は若くてエネルギーに溢れていたので、喉を痛めるまで歌わずにはいられなかったのだ。
たぶん、発声法にも無理があったと思う。自分の中で音楽を本当に噛み砕くためには、歌うしかないと思っていた。体力が尽きるまで練習に燃えたわけだ。そうすることで、自分の中のモヤモヤ感を払拭しようとしていたのかもしれない。
まあ、シャウトとまではいかないが、とにかく大声張り上げていた。そうしたらマジで喉がやられました。。。。この頃の歌はパワーオンリーだったのです。

30代になると、さすがに体力が落ちてくる。
声も出なくなってくる。
喉を痛めた経験もあるから、自分なりに調整することも覚える。
だが、歌手というのは声があまり出なくなってからが、本当の勝負なのではないだろうか。
パワーオンリーではムリと悟った時に、工夫が生まれる。
感情の機微を声に乗せることをし始める。
そうすると、どういうわけか、ぐっと歌がうまくなったりするのだ。

で、この頃はよく電車の中で歌の練習をしていた。
と言っても、電車の中で声を出していたわけではないですよ。いくら私でも、そこまで変人ではない。
イメージの中で、頭の中だけで歌っていたのです。

こんな車中練習法をしながら気づいたのだが、「こんな感じの声」というのが身体でイメージできると、実際に歌った時にもちゃんと声が出る。
20代の頃は、イメージする前に、とにかく先に声を出して喉を痛めたりしたわけだけど、この頃になると、先にイメージしてから声を出すので、喉を痛めるということはまずない。
ラクに声が出てるイメージが頭の中にあるから、無理して声を出そうと思わないし、意識せずとも身体が自然にラクな出し方をしている。
逆に「こんな感じの声」というのが身体でイメージできないと、やはり声は出ないものだ。

「身体でイメージ」というのは、本当に声が出ているように身体で感じるということ。身体のどの辺に響いているかとか、腹筋がどのくらい緊張しているかとか、呼吸がどうなっているかとか、そんなことをリアルにイメージしながら車中練習をしているってわけだ。
これはたぶん、スポーツ選手のやっているイメトレと同じなんだろう。
車中練習法はかなり有効である。実際に声を出して行う練習がゼロだとしても、ちゃんと本番で歌うことができる。

もう一つ大事なことは、こういうイメージ練習をたくさんしたとしても、本番では、イメージしたのと同じようにしようなんて思わないことだ。
イメージどおりに、なんて考えると柔軟性が失われ、逆に手足を縛られることになる。あくまでも、その時やってきた、その波に乗る! これで行かないとダメだ。
ライブ歌手の仕事は、結構、その場勝負だ。
共演するピアニストとその場で初めて会って、譜面を見せて説明して、即、本番!なんてことはしょっちゅうあるのだ。
互いにプロとしての実力を発揮する場でもあるわけで、歌手はピアノがどう出てこようと歌いこなしてこそプロなわけだ。ピアニストの中には、歌手を試すみたいに仕掛けてくるちょっと意地悪なタイプの人もいる。
まあ、こういう人は自分のピアノにプライドがあるんだけど。
わざと歌いにくいように、変化球を投げてくるピアニストもいるのだ。
この時、その変化球をしっかり捉えて、ヒットを飛ばせるのがプロなのだ。
お願いしたとおりに弾いてくれない、なんて言ってるうちは素人で、ピアニストは敬意を払ってくれない。
こんなライブを毎日、毎日、16年間もやってきたので、波乗りの楽しさはかなり味わうことができた。

さて、歌のことをつらつらと書いたが、これはたぶん、あらゆることに通じてる。
人前で話すとか、営業プレゼンをするとか、そういうシーンでも生きてくる。
というわけで、私は講師、コンサルになった今でも、イメージ練習と波乗りをやり続けているのだ。

2012年10月7日日曜日

読書のためのマインドマップ

今日は読書におけるマインドマップについて書いてみます。

これは、私がフォトリーディング講座で皆さんにマインドマップ活用をやってもらいながら気づいた体験上のことなので、トニー・ブザンのスピードリーディングとは関係ないですよ。
フォトリーディングを習ったけど、どうもマインドマップ活用がうまくいかないな、という人は参考になるでしょう。また、マインドマップを使って、どうやって読書したら良いのだろうか、と考えている人にも、おそらく役に立つと思います。
ある程度、読者の皆さんがマインドマップの基礎知識があることを前提として、書き進めてみようと思います。


まず、マインドマップの活用は大きく分けて、NOTE TAKE と NOTE MAKEの二通りがあります。

<NOTE TAKE>
ノートを取るということ。

人の話を聞いてメモをしたり、文章を読んでノートにまとめたりすることを指しています。
文章を読んでノートをまとめる際には、BOI と呼ばれる文章の柱を見出してからまとめることで、ある程度、構造的なマインドマップを作ることができるでしょう。BOIはカラフルなマインドマップを作成する時に、メインブランチと呼ばれる第1階層目のブランチの上に書くことになります。
一方、人の話を聞いてメモする際には、全体構造が見えない中でメモしていることが多いはずです。この場合には、ミニマインドマップという構造のないマインドマップを活用するのも良いでしょうし、自分なりに勝手に構造を作りながらカラフルなマインドマップを作るのでも良いでしょう。

<NOTE MAKE>
ノートを作るということ。

自分の頭の中にあるものをノートにまとめることを指しています。
おそらく、最初から構造のあるマインドマップを作るのは難しい場合が多いでしょう。なぜなら、人間の頭の中は、そもそもグチャグチャなわけで、色々なことが浮かんでは消えするし、一つのことを考えながらも同時並行的に別のことを考えたりしていて、整理されたものとはとてもじゃないけど呼べないわけです。特に、深く物事を考えているときほど、そうなるでしょう。
ですから、おそらくは構造のないミニマインドマップを描くことになるはずです。
構造のないミニマインドマップを自由に、それこそ頭に浮かぶことを頭に浮かんだように描いているうちに、だんだん頭の中が整理されてくるでしょう。というのは、マインドマップというのは、頭の中で起きていることを見える化するようなものだからです。特に、ある程度描いた時点で、俯瞰して全体の関係を見渡すといい。気づいていなかった繋がりが見出せて、それが思考の大きな転換に繋がることがあるはずです。
この辺りまできたら、自分の考えを構造的に再構築してみようと思うでしょう。この段階で、カラフルな構造のあるマインドマップを作り直せばよい。

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さて、二つのマインドマップの活用法についてはご理解いただけましたでしょうか。
それでは、ここからが読書におけるマインドマップなのですが、私の考えでは、大人が自分の目的のために読書をする際には、マインドマップは<NOTE MAKE> と<NOTE TAKE>の中間が良いと思います。

本の内容をマインドマップにきっちりまとめようとすると時間がかかります。マニュアルの内容をきっちりまるごと理解しようなどの場合には、まとめ型の<NOTE TAKE>で良いのですが、多くの場合、大人の読書というのは、「きっちりまるごと理解しよう」というような性質の作業ではないのではないでしょうか。

本を読みながら、「なるほど、そうか!」と膝を打つようなことがあり、その結果として、自分の考え、理解がまとまっていく。大人の読書というのは、こんな感じではないかと思うのです。

その読書プロセスにおいては、頭の中で、「著者はなんでこういったことを述べているんだろう?」とか、「今の私のこの問題は、こういう方法で解決すべきと思うが、〇〇の部分だけはどうして良いか分からない。どこかに書かれていないだろうか。」のような思考が起きている。この時には、「本をまとめる」という作業はあまり意味がない。

それよりも、自分の頭の中の疑問に対して、ヒントとなりそうなひっかかる部分を少しだけメモしながら読み進める。これは人の話を聞きながらメモを取るようなタイプの<NOTE TAKE>です。そして、ある程度読んだら、「要するにこういうことが書いてあったよね」と頭の中を吐き出すような<NOTE MAKE>的なかき方でマインドマップにメモを追加する。いずれもミニマインドマップが良いです。
こんな風にしてある程度読み進め、マインドマップのメモができてきたら、メモを俯瞰して眺めたら良いでしょう。すると、意外なところが繋がっていることに気づいて、頭の中で理解が深まってくるわけです。

たいていの読書はこれで終了で良いでしょう。

ただ、読書もアウトプットがあってこそ本当に生きる。
なので、何冊か同じテーマの本などを読んだら、どこかの時点で、読書を経て出来上がった自分の考えをマインドマップに描いてみると良いでしょう。
この時は本当に<NOTE MAKE>のマインドマップです。そのマインドマップを作成する際には、読書の時に作成したメモ的なマインドマップが生きるはず。かつて描いたミニマインドマップにさらなる書き込みをするかもしれません。そうしながら、だんだん頭の中が整理され、自分の考えがまとまってくる。途中で別途、ミニマインドマップを描いてもよい。自分の考えがはっきりし、思考の柱が見出せたら、カラフルなマインドマップを作ってみましょう。

さて、今日はここまでです。
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